校長あいさつ
開田小学校は、校歌に「おやまのすその ひろのはら」とうたわれるように、御嶽山の裾野に広がる美しい開田高原の小さな小学校です。学区は広く、開田高原全域からほとんどの子どもたちがバスを使って集まります。
開田高原は、古くから木曽馬の産地として有名で、明治・大正時代には、7,000頭もの木曽馬が、<馬小作>の制度のもと飼育されていました。農家は、家の中の南向きの一番よいところに馬小屋をつくり、馬を家族のようにして暮らしてきました。農耕馬としての木曽馬は機械にとって代わり、今は観光牧場「木曽馬の里」を中心に、開田高原には50頭ばかりがいます。木曽福島などの木曽谷の宿場町とは行き来が難しかったこともあり、開田高原独自の風土と文化があります。
とうもろこしや白菜の産地として広大な農地が広がり(西野地区)、白樺の高原や湿原、温泉やスキー、蕎麦など観光資源にも恵まれています。寒さが厳しく、自然が雄大で、神々しいほどに美しいこの地を選んで、Uターン、Iターンの保護者の割合も年々多くなっています。地域おこし協力隊の方々など、ここに住む人がつながって豊かに人生を送る、持続可能な地域にしたいと熱い思いを持っている方がたくさんいます。
本校では、このふるさとの自然と、人々の暮らしの中で受け継がれている伝統や文化から体験を通して学ぶ教育、ふるさと教育に力をいれています。また、少人数を生かし、異年齢集団での学びやひとりひとりを大切にした<開田ならではの教育>に力を入れ、変化が激しく予測が困難な時代を、多様な人々と協力して、豊かな人生をつくっていく、未来を切り開く力を持った人間を育ててまいります。
美しいものを美しいと感じる感性、尊いものを尊敬する心、何が幸せなのか、何を求めて生きていくべきか…。こうした生き方の根幹となり、人生の指針となるものは、ふるさとでの原体験が大きな影響を及ぼします。開田小学校の子どもたちの生涯を支え、一生の自信となるような<ふるさと原体験>を創造する学校を目指してまいります。
子どもたちが教室を飛び出し、豊かな地域資源に生で触れる<ふるさと原体験>を存分に学校教育に取り入れるため、一人でも多くの方に学校教育に参画していただきたく存じます。ご協力のほどお願い申し上げます。
令和5年4月1日 開田小学校長 林 久美